とある女の子の手作りパンを食べる機会がありまして。大学時代の話です。
まずね、パンを自分で作れるってこと自体衝撃だったんですよ。自分でも料理できないし、母親に得意料理聞いたら「麦茶」って答えるような環境で育ってきたから。パンはパン屋さんだろうと。
でもね、同級生の料理が得意って子が「よく自分でパン作るよー」って。「じゃあもし今度作ったら食べさせてよ」って話になったんです。
で、もうそんな話をしたことすら忘れた秋口の候。その女の子から「パン、作ったよー＾＾」とのお声がけがありました。謎の容器からパンが登場。
これが確かにパンなんですよ。で、中にもチョコチップが入ってると。「チョコも手作りなの？凄くない？」って。
こちとら女の子の手料理？を食べ慣れてないわけでさ、覚えててくれて、作ってきてくれて、そりゃ嬉しい。だからいつもの倍テンション高めに「いただきまーす！」って口の中に放り込んだんですけど。
硬いんですよ。すげー硬い。パンの表現って大体「モチっ」とか「フワっ」あたりで落ち着くと思うんだけど、そのとき食べたパンは少なくとも「ガ行」で始まる食感だった。
これチョコだ。パンじゃなくて、中のチョコが超絶硬いんだ。
それもね、開けてビックリすごい量入ってて。無視できぬ存在感。あのね、僕一回ちょっとした事故で前歯折ったことあるんですよ。だからね、こう見えて前歯の耐久度に関しては結構知識が深いんですけど。そのときは「あと２噛みでイキます」って信号出ちゃってた。
でも、さすがにここで残すわけにもいかない。女子から嫌われるのもまぁ怖いお年頃ですからね。だから前歯だけに負担かけないように、慎重に慎重に咀嚼して。やっとのことでやつを無事胃の中におさめることに成功しました。
僕「あー美味しかった！ごちそうさま！」
女の子「ホント！？よかったー！まだまだあるからドンドン食べて（笑）」
膝から崩れ落ちたい感じ。
でもね、かといって、ほかの友達に食べさせるのも悔しいんですよ。「女の子が俺のために作ってくれたパン」っていうブランド。大切な何かを失ってしまう気がして。
だから、「マジ！？じゃあ、いただきます（ニッコシ）」って。自分を騙し騙しそのパン食べまして。なんとかね、無事２つ目も完食したんです。
僕「うん、美味しい…！でも、ちょっとお腹いっぱいになっちゃったかも…（虫の息）」
女の子「そっかぁ、ほかに食べてくれる人いるかな？あ、◯◯君だ！おーい、◯◯く」
僕「ま、待って！もう１個！もう１個いける！」
まぁ、結論から言うとね、その後もそんな調子で計６個（全部）食べました。
そして数時間後、茶色いゲロを吐きました。
数時間経ってるのに、チョコ全然消化されてなかった。今となってはそれも良い思い出です。
でね、その話を先日彼女にしたんですよ。そしたら
「そうだったの？（笑）でも、あの時全部食べてくれて本当に嬉しかった///」って。それ聞いたときは、ホントあの時、無理してよかったなって思いましたね。
男には絶対に負けられない戦いがある。
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